更新日: 2026.05.20

マネージャーナル

社会全体で支える、未来への投資
子ども・子育て支援金制度

新井 智美さん

ファイナンシャルプランナー(CFP )/1級ファインナンシャル・プランニング技能士/DC(確定拠出年金)プランナー/ 住宅ローンアドバイザー/証券外務員

“独身税”と呼ばれる背景

2024年6月に成立した「子ども・子育て支援金制度」は、SNSなど一部では“独身税”とも呼ばれ、さまざまな意見が飛び交い、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、制度の仕組みや実際の負担額、そして私たちの生活にどのような影響があるのかを解説します。

子ども・子育て支援金制度とは、少子化対策のための財源の一部を、社会保険料に上乗せして確保する制度です。児童手当の拡充や育児支援の充実などに必要な財源を、社会全体で支えることを目的としています。特徴的なのは、税金ではなく社会保険料として負担する点です。つまり、会社員であれば、健康保険料などとあわせて天引きされる形になります。

“独身税”と呼ばれる背景には、子どもがいない人も負担の対象となることや、所得に応じて広く徴収される仕組み、さらに給付の恩恵を直接受けない人もいることなど、制度の構造があります。こうした点から、「子育て世帯だけが恩恵を受けるのではないか」という不公平感が指摘されているのです。

ただし、制度の本来の趣旨は「将来の社会を支える子どもを育てるための投資」です。少子化が進めば、将来的に年金や医療などの社会保障制度そのものが維持しにくくなるため、制度上はすべての医療保険加入者が対象です。

負担額の見通しと今後の考え方

政府の想定では、一人あたりの負担額は段階的に引き上げられる予定です。収入や加入している保険制度によって異なりますが、大きな負担ではないと感じる声がある一方で、社会保険料はすでに増加傾向にあるため、家計全体で見ると負担がじわじわ増えていく可能性があります。

この制度をどう捉えるかは、考え方によって大きく変わります。短期的に考えれば「負担増」であることは事実ですが、長期的には、労働人口の減少を緩やかにし、社会保障制度の維持につながる側面もあります。

子ども・子育て支援金制度は、「新たな負担」と「未来への投資」という両面を持つ制度です。制度の是非を感情だけで判断するのではなく、仕組みと目的を正しく理解することが、これからの時代においてますます重要になるでしょう。

※実際の負担額は所得や加入している保険制度によって異なります。