季節の健康コラム
今知っておきたい
麻疹(はしか)への備え
医学博士 植地 貴弘さん
気づきにくい症状と重いリスク
今、日本で麻疹の感染者が増えています。海外からのウイルスの持ち込みが増えたことに加え、ワクチン接種率の低下が重なり、流行が懸念されています。麻疹は非常に感染力が強い病気です。インフルエンザや新型コロナウイルスとは異なり、空気感染するため、マスクでは防げません。同じ部屋にいるだけで、免疫のない人のほとんどが感染してしまいます。
症状にも厄介な特徴があります。感染してから約10~12日後に発熱やせきが始まり、いったん熱が下がったあと再び高熱とともに全身に発疹が広がります。発疹が出るまで麻疹と気づきにくいのです。そして、麻疹には有効な治療薬がありません。1,000人に1人が脳炎を発症し、後遺症が残ることもあります。さらに近年の研究では、麻疹にかかると過去に獲得した他の病気への免疫まで失われ、その影響が数年続くことが分かっています。つまり麻疹は「免疫のリセットボタン」とも言える恐ろしい病気なのです。
まずはワクチン接種歴の確認を
唯一の予防策はワクチンの2回接種です。1回で約95%、2回で約99%の人に免疫がつきます。ところが、生まれた年代によって接種回数が異なり、特に1972年~1990年生まれの方は1回しか受けていない可能性があります。まずは母子手帳などで接種歴を確認の上、2回接種を終えていない方は、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の追加接種をご検討ください。ただし、MRワクチンは生ワクチンのため妊娠中は接種できません。妊娠を予定している方は早めの接種をおすすめします。「自分は大丈夫」と思わず、家族全員の接種歴を確認することが、流行を防ぐ第一歩です。
【生年月日別のワクチン接種歴】
