更新日: 2025.11.07

マネージャーナル

トランプ関税・2030年問題…
なぜ物価高が進むの?

新井 智美さん

ファイナンシャルプランナー(CFP )/1級ファインナンシャル・プランニング技能士/DC(確定拠出年金)プランナー/ 住宅ローンアドバイザー/証券外務員

円安と米国関税で広がる値上げの波

2025年10月1日から、多くの物の値段が上がりました。特にペットボトル飲料の値上がりが顕著で、自販機では200円を超えてしまうケースも見られるようになりました。さらに、光熱費も政府の補助制度が9月で終了したため、10月からは同じ使用量でも値段が上がります。このように物の値段が度々見直され、どんどん上がっているのはなぜなのでしょうか。

物価高の1つの要因として指摘されるのが円安による輸入コストの上昇です。日本は食品やエネルギー(原油・天然ガス)の多くを輸入に頼っているため、円安が進むとどうしても輸入コストがかかってしまい、それが商品の値段を押し上げる原因になってしまうのです。また、輸入する原材料の価格高騰も物価高に繋がっている要因です。

さらにトランプ大統領の関税政策も物価高に追い打ちをかけています。トランプ大統領は、着任早々「全ての国や地域に一律10%の基本関税を適用する」と発表し、加えて「アメリカが巨大な貿易赤字を抱えている国や地域に対しては更なる関税の上乗せ」を実施しました。日本は自動車や電子部品などを多くアメリカに輸出しているため、関税がかかることによって企業も利益を上げるために物の値段を上げる選択をとらざるを得ません。結果として、最終的な物価高に影響を与えている状況です。

2030年問題とその対応策

2030年問題とは、2030年に日本の総人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合が30%を超えることにより発生する様々な社会課題のことです。医療や介護の需要が急増するにも関わらず、医療・介護の分野で働く人材の不足や、若年層(労働者)不足による社会保険料や税金などの収入減少が見込まれるため、2030年以降、現在の社会保障制度自体が脅かされる可能性があるのです。医療や介護を受けるための自己負担額が増加する恐れもあります。特に、2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上になるため、問題はより深刻になるでしょう。物価高と2030年問題が重なり、今後の私たちの生活への負担はより一層大きくなることが予想されます。そのためにも、今後は家計の見直しや、NISAの活用など、自分が持っているお金の価値を効率的に増やす方法を考えることが重要な課題になるといえそうです。