更新日: 2026.08.20

マネージャーナル

医療費の自己負担はどう変わる?
高額療養費制度の改正

新井 智美さん

ファイナンシャルプランナー(CFP )/1級ファインナンシャル・プランニング技能士/DC(確定拠出年金)プランナー/ 住宅ローンアドバイザー/証券外務員

今回の改正で変わること

「高額療養費制度」とは、医療機関や薬局で支払った保険診療の自己負担額が、年齢や所得に応じた上限額を超えたときに、その超えた分が払い戻される制度です。大きな手術や長期入院、高額な薬剤を使った治療などで医療費が高額になっても、家計への負担を抑えられる仕組みとして、多くの方に利用されています。

この高額療養費制度が、2026年8月に改正されます。今回の改正では、自己負担額の上限が引き上げられるほか、長期間治療を続ける方への配慮として、新たに「年間上限」が設けられます。また、過去12カ月以内に3回以上上限額に達した場合、4回目以降の負担が軽くなる「多数回該当」についても、2027年8月に自己負担上限額の引き下げが予定されています。

今回の改正は、現役世代の保険料負担を抑えながら、制度を持続可能なものにすることを目的としています。近年、日本では高齢化が進んでいることや、高額な薬剤、先進医療の普及などにより医療費が増加しています。こうした状況を受け、公的医療保険制度をこの先も維持していくためには、一定の負担の見直しが必要だと判断されたのです。

負担が増える人・抑えられる人

一時的な入院や手術を受ける方は、月ごとの自己負担上限額が引き上げられる分、これまでより自己負担額が増える可能性があります。一方で、毎月継続的に高額な治療を受ける方は、年間上限が設けられることで、トータルで見ると負担が抑えられるケースもあります。つまり、“短期間の高額治療は負担増”となる可能性があり、“長期間の継続治療は新制度の恩恵を受けやすい” という点が、今回の改正のポイントです。

高額療養費制度は、医療費の負担を大きく軽減してくれる大切な公的制度です。ただし、差額ベッド代や食事代、先進医療の一部などは対象外となるため、すべての医療費をカバーできるわけではありません。今回の制度改正を機に、公的保障でどこまで備えられるのかを確認し、万一の医療費に備えながら、家計全体のバランスを見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。