季節の健康コラム
胸やけ、我慢していませんか?
胃食道逆流症(GERD)
医学博士 植地 貴弘さん
生活習慣の改善で症状は和らぐ
胸やけや、酸っぱい液がのどまで上がってくる「呑酸(どんさん)」。これらは胃酸が食道へ逆流して起こる「胃食道逆流症(GERD)」の代表的な症状で、成人の約3人に1人が経験する、とても身近な病気です。放置して逆流が続くと、食道の炎症や、まれにがんにつながることもあり、睡眠や食事の楽しみといった生活の質も下がってしまいます。
多くの場合、生活習慣の見直しで症状が和らぎます。太り気味の方は減量する、たばこをやめる、寝るときは上半身を少し高くする、寝る前3時間は食事をとらないといった工夫は、いずれも薬に頼らずでき、体全体の健康にもつながります。まずはできそうなものから始めてみましょう。
市販薬は一時的に、症状が続けば受診を
セルフケアでもつらいときは、市販薬を短期間だけ使う方法があります。胃酸を抑える薬には、以前からあるH2ブロッカーや制酸薬に加え、2025年からは効果の高いPPI(プロトンポンプ阻害薬)も市販されるようになりました。PPIの市販薬は「2週間まで」など使用期間が決められており、購入時には薬剤師から説明を受ける必要があります。飲むなら朝食の30~60分前が効果的です。ただし、薬で抑え“続ける”のではなく、あくまで一時的なケアと考え、長引くときは医療機関を受診しましょう。
次の症状があるときは、様子を見ずに医療機関を受診してください。「食べ物が飲み込みにくい、飲み込むと痛い」「体重が減ってきた」「便が黒い、または血が混じる」「繰り返し吐いてしまう」「健診などで貧血を指摘された」─これらは炎症が進んでいたり、まれに食道がんなど別の病気が隠れているサインの可能性があります。その場合は胃カメラ(内視鏡)による検査がすすめられます。胸やけはよくあることと我慢しがちですが、正しいセルフケアと、適切な受診によって、快適な毎日を取り戻せます。気になる症状があれば、早めにご相談ください。
症状を招きやすい生活習慣・食べ物

ワンポイント
「夕食を早めにとる」「食後すぐ横にならない」「太り気味なら減量する」など、できることから一つずつ始めてみましょう。
出典: ACG(米国消化器学会)GERD診療ガイドライン2022 DOI: 10.14309/ajg.0000000000001538